翻訳者さんへの期待あれこれ

日々、様々な翻訳者さんに接し、翻訳者さんに対して私たちがどのようなことを期待しているか、少しご紹介させていただきましょう。

連絡が取りやすい、納期を守る

翻訳業に限らず、ビジネスで一般に求められる重要なポイントですね。「お願いしたい!」と思ったときにすぐに連絡が取れると助かります。また、指定の納期を遵守することは基本ですが、とても大切だと思います。

正確さ、スピード

まず、正確であること。実務翻訳では何よりもこれが重要ではないでしょうか。また、翻訳した文章に訳抜けや誤記がないか丁寧に読み直しをする、というのも重要な作業のひとつですね。特に実務翻訳では数字は大変重要で、数字にミスがあると、後で大きな問題となる場合もあります。
そして指定された納期で正確な訳文を仕上げて頂ける翻訳者さんには、継続的にお願いしたいと思っています。

専門知識

実務翻訳では、語学だけでなく、「これは!」という専門知識を持っていることが望まれます。実際にその分野で「××年間の経験がある、〇〇業界に精通している」など、専門分野がはっきりしていることは大きな強みです。特殊な分野に精通している方の翻訳に接することは、こちらも勉強になることが多く感謝しています。
ただ、最初から誰もが特殊な分野の専門知識を持っているわけではありませんよね。請け負った案件をきっかけに専門知識を広げていけるような、探求心のある柔軟な方も翻訳業界の大切な戦力です。

TPOに合わせた文章

実務翻訳と一口に言っても、会社の社内報のようなソフトな読み物系から、カタログなどの販促資料、契約書などの法律文書、政府機関に提出する特許関係、数値が並んだ仕様書、ソフトウェアのユーザーインターフェース、そしてナレーションなどの音声テキストなど、非常に多岐にわたります。そのため、翻訳ではテキストの種類に応じて文章を使い分ける技術も必要です。たとえば会社経営者の挨拶文などでは、格調の高さが要求される一方、ナレーションでは耳で聞いたときの理解しやすさが求められます。

簡潔で、わかりやすく

実務翻訳は、情報を得るために必要に迫られて読むテキストであることもひとつの特徴です(そこが好きで読む文芸作品とは異なるところですよね)。わかりやすく、読者に読むのが負担とならないような簡潔な文章であることはプラスの要素と言えます。
文章のわかりやすさという点では、「文脈」をたどりやすいことが重要なポイントのひとつです。文脈がたどりにくい場合、外国語と日本語の語順の違いにも一因がありますが、接続詞の存在も関係しているようです。
また、ユーザーインターフェースなどのように文字数に制限のある場合などでは、必要な情報を保持しつつ簡潔であることがますます重要になっています。

必要なときには訳注を

まれに翻訳対象の原文に誤字や記述の間違いが存在する場合があります。
英文和訳を例にあげると、最初から英語で書かれたテキストもありますが、英語以外の言語が原本で、そこから英語に翻訳されたテキストも少なくありません(「重訳」)。英語以外の言語から英語に翻訳された段階でわずかとはいえ誤訳が紛れ込んでいることもあります。そのような場合に、「この原文はどこかおかしい」と気づき、訳注を付記するなどの配慮をいただけると、後の工程の助けにもなります。

セキュリティ意識も

実務翻訳の特徴として「高い機密性が求められること」が挙げられます。仕事で知りえた情報を第三者に開示しないことは秘密保持契約で定めています。最近ではウェブサイト上にある翻訳サービスを気軽に使う傾向がありますが、これは情報をネット経由で第三者に送信し、自動的に収集させているのです。確かに機械翻訳の精度は高まっており、省力化にプラスになることもあるでしょう。ただ、これも完全というわけではありません(ネット翻訳の誤訳をそのまま踏襲した訳文もたまに見かけます…)。機密保持の意味でも、扱いには十分注意しましょう。

最後に

いかがでしたでしょうか?少しでも皆様のご参考になれば幸いです。
これから翻訳者を目指す方も既に翻訳者としてご活躍されている方も、今後のご活躍をお祈りしております。
私達翻訳会社は、多くの翻訳者の方々に支えられており、その多大なご協力に心より感謝しております。
皆様とお仕事できることを楽しみにしております。