ボッシュ自動車ハンドブックの楽しみ方
~センサーの種類について~

この記事は、「ボッシュ自動車ハンドブックの楽しみ方~自動車のセンサー編」の続きです。

自動車には多種多様のセンサーが搭載されていますが、その数をご存知でしょうか?あるデータによると、現在、車一台当たりの採用個数はおよそ50から60個で、さらに増加傾向にあるそうです。今回は測定対象の変量に基づき、「位置センサーおよび角度位置センサー」と「回転数センサー」の2種類に分類してご紹介しましょう。

1. 位置センサーおよび角度位置センサー

さまざまな一次元あるいは多次元の移動および角度位置(並進および回転変量)を記録するものです。この分野では、摩耗がないために信頼性が高く、寿命も長い非接触式の近接センサーが使用されており、その歴史も長いです。ただしコストが高くなるので、従来の「スライダー式」センサーで十分に対応できる用途に関しては、今もスライダー式が使用されています。
ここで簡単にスライダー式センサーの仕組みを説明しておきましょう。抵抗体上で摺動子(スライダー)を移動させると電気抵抗が変化します。この原理を利用して、スライダーの位置(スライダーの変位)を求めているのです。
なお、非接触式のセンサーとしてよく使われるのが磁気センサーですが、これは磁気誘導(コイルの磁界に物質(導体)が近づくと電位差が生じる現象)を応用しています。
実際の自動車に装備される位置センサーおよび角度位置センサーの測定変量には、アクセルペダル位置(踏み込み量)、スロットルバルブ位置、燃料タンクレベル、操舵角、電子式トランスミッション制御のためのトランスミッションセレクターレバー位置、シート位置、ミラー位置、ブレーキペダル位置、傾斜角度、などが挙げられます。

2. 回転数センサー

一定の角度の回転に要する時間を計測するものです。これにより単位時間当たりの回転数を決定できるのです。回転数センサーには種々のものがありますが、基本原理は回転体(ローター)が回転運動をした際に起こる磁束の変化に起因したいずれかの電気的な変化を測定するというものです。
実際の自動車で採用される測定変量には、クランクシャフト回転数、カムシャフト回転数、ホイール回転数、トランスミッション回転数(オートマチックトランスミッションのシャフト回転数)などが考えられます。

いかがでしたでしょうか。今回はボッシュ自動車ハンドブックから、2つのセンサーについて駆け足でご紹介しました。
自動車は次々と開発される先端技術が搭載され、日々その性能を上げています。車を構成するおよそ3万個といわれる部品のどれもが欠かせない役割を担っていますが、その中でもセンサーは安全な走行には不可欠で重要なパーツと言っても過言ではありません。今後さらなる向上を求め、新しいタイプのセンサーが登場するでしょう。私たち翻訳会社も、引き続きこうした新技術に関する知識のアップデートを続けていきたいと思います。