ボッシュ自動車ハンドブックの楽しみ方
~車線アシスト編~

ボッシュ自動車ハンドブック日本語第4版は、英語第10版およびドイツ語第29版の日本語訳として、2019年9月に発行されました。本文ページ数は1600ページ超、そして巻末には70ページ強、5,500項目以上もの索引があります。

さて、問題は「この分厚い参考書を一体どうしたら有効に活用できるか」ですが、その内容はかなり専門的で、相当の工学知識がある人でなければ、記載内容を100%理解するのは難しいのではないでしょうか。
ちょっと発想を転換して、本書を参考書・技術書ではなく、どうしたら少しでも楽しく読むことができるか、あるいはそもそもこの分厚い難しそうな本を、どうしたら開いて眺めてみる気になれるか、その方法を考えてみることにしました。

そこで、まずは巻末の索引を眺めてみることにしました。
「車線アシスト」の項目が、他の項目との組み合わせで複数エントリーされていますので、今回はこの項目について見てみましょう。

「車線アシスト」とは、何らかの理由により運転者が方向指示器を作動させずに車線境界線を越える危険が想定される場合に、そのことを運転者に警告して事故を防止するためのシステムです。
索引の項目にも注意しながら記載内容を要約すると、このシステムの仕組みは次のようになっているのがわかります。

最初に、ビデオカメラ(ビデオセンサー)が車両前方の車線を検出します。
カメラの情報は、画像処理システムに送られ、路面と車線境界線のコントラストの違いに基づいて車線境界線の位置が求められます(ここまで索引の「車線逸脱警告」および「車線の検知」の項目に対応)。

求められた車線を基準にして車両が走行車線から逸れると、運転者に警告が発せられます。
警告の方法としてはスピーカーを使用しての音響警告、あるいはステアリングホイールを振動させる、またはステアリングにわずかな逆向き(車線へと戻す方向)トルクをかける、といった運転者の聴覚と触覚に訴える方法があります(ここまで索引の「車線逸脱警告」および「運転者への警告」の項目に対応)。

「車線アシスト」は進化を続け、現在では「車線逸脱警告」からさらに発展して「車線維持支援」も可能になっています。これは、意図しない車線逸脱について警告するだけではなく、車両の進路維持を積極的にサポートするシステムです。
具体的には、車両が大きく車線を逸脱した際に、システムが能動的に操縦機能に介入するか、あるいは非対称的に制動装置に介入(例えば、車両が車線より右側へと逸脱しようとするとき、意図的にそれぞれのホイールに異なる制動力を作用させ、全体として車両の進路が左側へずれるようにして、車線右側への逸脱を相殺)することで実現されます。
このシステムでは、車両の車線からの逸脱が意図的なものか(運転者がそのようにステアリングを操作したのか)どうかを判断する機能が必要になります(ここまで索引の「車線維持支援」および「支援のための介入」の項目に対応)。

本書では、「車線維持支援」よりさらに進化したシステム(英語第10版およびドイツ語第29版の原稿作成時においてまだ実用化されていないものを含む)についても概説されています。

いかがでしたか?「車線アシスト」という索引項目を出発点に本文を2ページほど見てみました。
皆さんも、お時間があったら索引から面白そうな項目を見つけてそれについて調べてみると、この分厚い参考書が少し身近に感じられるかもしれません。