外国人泣かせの日本語~第3回

「外国人泣かせの日本語」と題してご紹介してきたこのシリーズも3回目となりました。最終回となる今回は、実際に日本語学習者が日本語を難しいと思う主な理由6つのうち、残りの3つを挙げて締めくくりましょう。日本語学習者にとってはさらに難易度が上がっていきますよ。

4. 状況によって解釈が分かれる言葉が多い

次の3ケースの会話をご覧ください。

[ケース1]
A1: ここに車を止めないでください。
B1: すみません、すぐにどけます。

[ケース2]
A2: 少しおまけしておきますね。
B2: すみません、助かります。

[ケース3]
A3: すみません、まだお店やってますか?
B3: すみません、今日はもう閉めちゃったんですよ。

各ケースにある「すみません」。日本語ではお馴染みの言葉ですよね。
大きく分別するとB1とB3は「謝罪」、B2は「御礼」、A3は「呼びかけ」という意味合いで使われています。そしてB2の「御礼」には、イントネーションによっては「相手の気遣いに有難くも少し申し訳ない気持ち」も含まれてくるでしょう。このように、短い言葉でありながら、状況や関係性で意味合いが異なる言葉も日本語学習者泣かせです。

5. 西洋からの外来語が混在している

ご存知のとおり、日本は西洋から伝わってきた事象・名称に日本語訳を当ててないものもあり、日本人が発音しやすい文字で表記し、取り入れてきたという歴史があります。今日では日本語の中に当たり前のように溶け込んでいる外来語ですが、先に記したとおり、「日本人が発音しやすい」音に寄せているため、英語ネイティブの外国人からすると、それが本来は自国の言葉であるとは思えない変化を遂げていることも多いのです。

6. 方言が多い

北は北海道から南は九州・沖縄まで、日本にはその土地独自の言葉があります。日本語ネイティブであっても地方の言葉は全く分からない場合も多々あるわけですから、外国人にとってはなおさらです。日本の地方にある大学に進学した留学生が、キャンパス内では対応できるものの、生活圏で話される日本語が日本語学校で習ったものと違い過ぎて、まったく理解できず困ってしまったという例もあるようです。

他にも「オノマトペ(擬音語・擬声語・擬態語など)が多い」、「尊敬語や謙譲語がある」など、日本語学習者を困らせる要素は数限りなくあるようです。また、英語圏以外の言語を母国語とする日本語学習者に同じ質問を投げかけたら、上記とは異なる「壁」が出てくるでしょう。

とはいえ、日本が好きで日本語を学ぶ外国人が増えているのは事実で、喜ばしいことです。そしてこの奥深い日本語を正しく使えるように、私たち日本語ネイティブも学び続けたいものです。

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